Google CloudでAPIキーを廃止してより安全な認証方法へ移行する方法

このブログシリーズ 「クラウドセキュリティ 実践集」 では、一般的なセキュリティ課題を取り上げ、「なぜ危険なのか?」 というリスクの解説から、 「どうやって直すのか?」 という具体的な修復手順(コンソール、gcloud CLI、Terraformなど)まで、分かりやすく解説します。
この記事では、GCP APIキーの使用を最小限に抑える実装手順について、リスクと対策を解説します。

ポリシーの説明
Google Cloud Platform(GCP)において、APIキーは最も基本的な認証方法の一つですが、同時に最もセキュリティリスクが高い認証方法でもあります。APIキーは静的な文字列であり、一度生成されると明示的に無効化されるまで有効です。GCPでは、より安全な認証方法として、サービスアカウント、OAuth 2.0、Workload Identity、Application Default Credentials (ADC)などが提供されており、これらの使用が推奨されています。本ポリシーは、プロジェクト内でのAPIキーの発行を最小限に抑え、より安全な認証方法への移行を促進することを目的としています。
修復方法
コンソールでの修復手順
Google Cloud コンソールを使用して、既存のAPIキーを確認し、より安全な認証方法に移行します。
1. 既存のAPIキーの確認と削除
- Google Cloud Console にアクセス
- https://console.cloud.google.com にログインします
- 対象のプロジェクトを選択します
- APIキーの一覧を確認
- 左側のナビゲーションメニューから「APIとサービス」→「認証情報」を選択
- 「APIキー」セクションで既存のキーを確認します
- 使用状況の確認
- 各APIキーの「使用状況を表示」をクリック
- 過去30日間の使用状況を確認し、実際に使用されているかを判断します
- 不要なAPIキーの削除
- 使用されていないAPIキーの横にある削除アイコンをクリック
- 確認ダイアログで「削除」をクリックします
2. サービスアカウントへの移行
- サービスアカウントの作成
- 「IAMと管理」→「サービスアカウント」を選択
- 「サービスアカウントを作成」をクリック
- 名前と説明を入力し、「作成して続行」をクリック
- 適切な権限の付与
- 必要最小限のロールを選択(例:Cloud Storage オブジェクト閲覧者)
- 「続行」をクリック
- キーの作成(必要な場合)
- 「キーを作成」をクリック
- JSON形式を選択し、「作成」をクリック
- キーファイルを安全に保管します
3. Workload Identity の設定(GKE環境などの場合)
- Workload Identity の有効化
- GKEクラスターの設定で「Workload Identity」を有効化
- ノードプールでもWorkload Identityを有効化
- Kubernetes サービスアカウントとGCPサービスアカウントの紐付け
kubectl annotate serviceaccount KSA_NAME \ iam.gke.io/gcp-service-account=GSA_NAME@PROJECT_ID.iam.gserviceaccount.com
- IAMポリシーバインディングの作成
gcloud iam service-accounts add-iam-policy-binding GSA_NAME@PROJECT_ID.iam.gserviceaccount.com \ --role roles/iam.workloadIdentityUser \ --member "serviceAccount:PROJECT_ID.svc.id.goog[NAMESPACE/KSA_NAME]"
ベストプラクティス
2025年8月時点で考えられるベストな選択肢は以下になります。
最適な方法を選択し、APIキーの発行は出来る限り行わないようにしましょう。
ユースケース | 推奨認証方法 | 理由 |
---|---|---|
GKE上のアプリケーション | Workload Identity | Podレベルでの細かい権限制御が可能 |
Compute Engine VM | インスタンスメタデータ | キー管理不要、自動ローテーション |
オンプレミスアプリ | サービスアカウントキー | Workload Identity Federationも検討 |
CI/CDパイプライン | Workload Identity Federation | GitHub Actions、GitLab CI等との統合 |
ローカル開発 | Application Default Credentials | gcloud auth application-default login |
まとめ
この記事では、GCP APIキーの使用を最小限に抑える実装手順について、リスクと対策を解説しました。
重要なポイント:
- APIキーはセキュリティリスクが高いため、可能な限り使用を避ける
- サービスアカウント、Workload Identity、ADCなどのより安全な認証方法を使用
- 既存のAPIキーは計画的に移行・削除
- APIキーの作成を監視し、不正な使用を検知する仕組みを実装
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