Azure Load BalancerでHTTPS通信のみの制限について

このブログシリーズ 「クラウドセキュリティ 実践集」 では、一般的なセキュリティ課題を取り上げ、「なぜ危険なのか?」 というリスクの解説から、 「どうやって直すのか?」 という具体的な修復手順(コンソール、AWS CLI、Terraformなど)まで、分かりやすく解説します。

この記事では、Azure Load BalancerでHTTP通信を無効化し、HTTPS通信のみを許可する設定方法と、そのセキュリティ上のメリットを解説します。

ポリシーの説明

Azure Load Balancerは、ネットワークトラフィックを複数のバックエンドインスタンスに分散するLayer 4(トランスポート層)のロードバランサーです。セキュリティを強化するため、暗号化されていないHTTP通信(ポート80)を無効にし、暗号化されたHTTPS通信(ポート443)のみを許可するように設定する必要があります。このポリシーは、Load Balancerがポート443のロードバランシングルールのみを使用し、HTTPポートが設定されていないことを確認します。

修復方法

コンソールでの修復手順

Azure コンソールを使用して、Load BalancerでHTTP通信を無効化し、HTTPS通信のみを許可する手順は以下の通りです:

ステップ1: Load Balancerリソースへのアクセス

  1. Azure Portal(https://portal.azure.com)にログインします
  2. 左側のメニューから「すべてのリソース」または検索バーで「ロードバランサー」を検索します
  3. 対象のLoad Balancerリソースをクリックして開きます

ステップ2: 既存のHTTPルールの確認と削除

  1. Load Balancerのメニューの設定から「負荷分散規則」を選択します
  2. 既存のルールを確認し、ポート80を使用しているHTTPルールがあるか確認します
  3. HTTPルール(ポート80)が存在する場合:
    • 該当ルールの右側にある「…」メニューをクリック
    • 「削除」を選択
    • 確認ダイアログで「はい」をクリックして削除を確定

ステップ3: HTTPSロードバランシングルールの作成

  1. 「ロード バランサー規則」画面で「+ 追加」ボタンをクリックします
  2. 以下の設定を行います:
    • 名前: https-rule など分かりやすい名前を入力
    • IPバージョン: IPv4を選択
    • フロントエンドIPアドレス: 既存のフロントエンドIPを選択
    • プロトコル: TCP を選択
    • ポート: 443 を入力(HTTPSポート)
    • バックエンドポート: 443 を入力
    • バックエンドプール: 対象のバックエンドプールを選択
    • 正常性プローブ: 適切な正常性プローブを選択または新規作成
    • セッション永続性: 必要に応じて設定(デフォルトは「なし」)
    • アイドルタイムアウト(分): デフォルト値(4分)または必要に応じて調整
    • TCP リセット: 必要に応じて有効化
    • フローティングIP: 通常は無効(特殊な要件がある場合のみ有効化)
  3. 「追加」をクリックしてルールを保存します

ステップ4: インバウンドNATルールの確認

  1. 左側のメニューから「インバウンドNATルール」を選択します
  2. ポート80を使用しているNATルールがある場合は削除します
  3. 必要に応じてポート443のNATルールを作成します

ステップ5: インバウンドNATプールの確認(該当する場合)

  1. 左側のメニューから「インバウンドNATプール」を選択します
  2. フロントエンドポート範囲に80が含まれているプールがある場合:
    • 該当プールを編集し、ポート範囲から80を除外
    • または、HTTPSポート範囲のみを使用する新しいプールを作成

ステップ6: 正常性プローブの設定(推奨)

  1. 左側のメニューから「正常性プローブ」を選択します
  2. 「+ 追加」をクリックして新しいプローブを作成、または既存のプローブを編集します
  3. HTTPSエンドポイント用の設定:
    • 名前: https-health-probe
    • プロトコル: HTTPS または TCP
    • ポート: 443
    • パス: /health など(HTTPSプロトコルの場合)
    • 間隔: 5秒(デフォルト)
    • 異常しきい値: 2(デフォルト)
  4. 「追加」または「保存」をクリックします

最後に

この記事では、Azure Load BalancerでHTTP通信を無効化し、HTTPS通信のみを許可する設定方法を解説しました。

Load BalancerレベルでHTTPトラフィックをブロックすることで、ネットワークの入り口でセキュリティを強化し、暗号化されていない通信によるデータ漏洩リスクを防ぐことができます。また、Network Security Groupと組み合わせることで、多層防御を実現できます。

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CSPMについてはこちらで解説しております。併せてご覧ください。

参考情報

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