Azureストレージアカウントのネットワークアクセスルールを拒否設定の手順について
このブログシリーズ 「クラウドセキュリティ 実践集」 では、一般的なセキュリティ課題を取り上げ、「なぜ危険なのか?」 というリスクの解説から、 「どうやって直すのか?」 という具体的な修復手順(コンソール、Azure CLI、Terraformなど)まで、分かりやすく解説します。
この記事では、Azureストレージアカウントのデフォルトネットワークアクセスルールを拒否に設定する方法について、リスクと対策を解説します。

ポリシーの説明
Azure Storage アカウントは既定で、インターネット上のあらゆる場所からアクセス可能な設定になっています。これは利便性を重視した設定ですが、セキュリティの観点からは大きなリスクとなります。
このポリシーは、ストレージアカウントのデフォルトのネットワークアクセスルールを「拒否」に設定し、必要最小限のネットワーク(特定の仮想ネットワーク、IPアドレス、プライベートエンドポイントなど)からのみアクセスを許可することを推奨しています。これにより、ゼロトラストセキュリティモデルに基づいた、より安全なアクセス制御を実現できます。
ネットワークアクセス制御のオプション:
- パブリックアクセス全体を許可:インターネット上のすべての場所からアクセス可能(既定、非推奨)
- 選択したネットワークからのみ許可:特定のVNet/IPからのみアクセス可能(推奨)
- パブリックアクセスを無効:プライベートエンドポイント経由のみ(最も安全)
修復方法
コンソールでの修復手順
Azure コンソールを使用して、ストレージアカウントのネットワークアクセスルールを設定します。
事前準備:
- 現在アクセスしているアプリケーションやサービスのIPアドレスを確認
- 使用している仮想ネットワークとサブネットを特定
- プライベートエンドポイントの必要性を検討
- Azure ポータルにログイン
- https://portal.azure.com にアクセスしてログインします
- ストレージアカウントに移動
- 左側のメニューから「ストレージアカウント」を選択
- 対象のストレージアカウントをクリック
- ネットワーク設定を開く
- 左側のメニューの「セキュリティとネットワーク」セクションから
- 「ネットワーク」を選択
- パブリックネットワークアクセスを制限
- 「パブリック ネットワーク アクセス」セクションで
- 「選択した仮想ネットワークとIPアドレスから有効」を選択
- または、より安全な「無効」を選択(プライベートエンドポイントのみ使用する場合)


- 許可するネットワークを設定
- 仮想ネットワークの追加:
- 「+既存の仮想ネットワークを追加」をクリック
- アクセスを許可する仮想ネットワークとサブネットを選択
- 重要:サブネットにサービスエンドポイントが有効になっていることを確認
- IPアドレスの追加:
- 「ファイアウォール」セクションで、許可するIPアドレス範囲を追加
- 例:オフィスのIPアドレス(203.0.113.0/24)、管理用サーバーのIPアドレス
- 注意:CIDR表記または単一IPアドレスを指定可能
- 仮想ネットワークの追加:
- 例外設定(必要に応じて)
- 「例外」セクションで必要な項目をチェック:
- 「信頼されたMicrosoftサービスによるこのストレージアカウントへのアクセスを許可する」(強く推奨)
- Azure Backup、Azure Data Factory、Azure DevOpsなどのサービスがアクセス可能になります
- 「Azure portal からのアクセスを許可する」(管理用、一時的に有効化を推奨)
- 「メトリックとログの読み取りアクセスを許可する」(監視用)
- 「信頼されたMicrosoftサービスによるこのストレージアカウントへのアクセスを許可する」(強く推奨)
- 「例外」セクションで必要な項目をチェック:
- 設定を保存
- ページ下部の「保存」ボタンをクリック
- 変更が適用されるまで数分待ちます
- 動作確認
- 許可されたネットワークからアクセスできることを確認
- 許可されていないネットワークからアクセスが拒否されることを確認
最後に
この記事では、Azureストレージアカウントのネットワークアクセスルールを拒否に設定する方法について、リスクと対策を解説しました。
デフォルトのネットワークアクセスを「拒否」に設定し、必要最小限のネットワークからのみアクセスを許可することで、ストレージアカウントのセキュリティを大幅に向上させることができます。特にプライベートエンドポイントの活用により、よりセキュアな接続を実現できます。
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