Azure Machine LearningワークスペースでCMK暗号化の設定について

このブログシリーズ 「クラウドセキュリティ 実践集」 では、一般的なセキュリティ課題を取り上げ、「なぜ危険なのか?」 というリスクの解説から、 「どうやって直すのか?」 という具体的な修復手順(コンソール、Azure CLI、Terraformなど)まで、分かりやすく解説します。

この記事では、Machine Learningワークスペースでカスタマーマネージドキーによる暗号化がされていないという課題について、リスクと対策を解説します。

ポリシーの説明

Azure Machine Learningワークスペースは、機械学習モデルの開発、トレーニング、デプロイメントを行うための統合環境です。これらのワークスペースには、学習データ、モデル、実験結果などの機密性の高い情報が保存されるため、適切な暗号化による保護が不可欠です。

カスタマーマネージドキー(CMK)を使用することで、組織は暗号化キーの完全な制御権を持ち、キーのライフサイクル(作成、ローテーション、削除)を自己管理できます。これにより、規制要件を満たし、データの機密性を高度に保護することが可能になります。

修復方法

重要な制限事項

  • CMK暗号化は新規ワークスペース作成時のみ設定可能です
  • 既存のワークスペースにはCMKを適用できません
  • 一度設定したCMKは削除できず、同じKey Vault内でのキー変更のみ可能です

コンソールでの修復手順

Azure コンソールを使用して、Machine Learningワークスペースにカスタマーマネージドキー暗号化を設定します。

事前準備

  1. Azure Key Vaultの作成:
    • ソフト削除と消去保護を有効にする
    • RSAキー(最小3072ビット、推奧4096ビット)を生成する
    • 適切なアクセスポリシーを設定する

手順1: Azure Portalにアクセス

  1. Azure Portal (https://portal.azure.com) にログインします
  2. 「Machine Learning」を検索し、サービスを選択します
  3. 「作成」をクリックして新しいワークスペースの作成を開始します

手順2: 基本設定の構成

  1. サブスクリプションとリソースグループを選択します
  2. ワークスペース名を入力します
  3. リージョンを選択します(Key Vaultと同じリージョンを推奨)
  4. 適切な価格レベルを選択します

手順3: 関連リソースの構成

  1. ストレージアカウント:新規作成または既存を選択
  2. Key Vault:CMK用に準備したKey Vaultを選択
  3. Application Insights:監視用に有効化
  4. Container Registry:コンテナ管理用に構成

手順4: 暗号化設定

  1. 「暗号化の種類」で「カスタマーマネージドキー」を選択します
  2. 「キーを選択」をクリックします
  3. Key Vaultと特定のCMKキーを選択します
  4. キーバージョン(最新または特定バージョン)を構成します

手順5: IDの構成

  1. 「システム割り当てマネージドID」または「ユーザー割り当てマネージドID」を選択します
  2. ストレージアクセスに「IDベースのアクセス」を選択します
  3. マネージドIDにKey Vaultの適切な権限があることを確認します

手順6: 高ビジネスインパクト設定(オプション)

  1. 非常に機密性の高いワークロードの場合、「高ビジネスインパクト」を有効にします
  2. これにより、Microsoftの診断データ収集が削減されます
  3. 追加の暗号化レイヤーが提供されます

手順7: ネットワーク設定

  1. ネットワーク分離レベル(パブリック、プライベート、ハイブリッド)を選択します
  2. プライベートネットワークを使用する場合、VNet設定を構成します

手順8: 確認と作成

  1. すべての構成を確認します
  2. 作成される追加リソースを確認します
  3. 条件に同意し、「作成」をクリックします

最後に

この記事では、Azure Machine Learningワークスペースのカスタマーマネージドキー暗号化について、リスクと対策を解説しました。

CMK暗号化は、機密データを扱うMachine Learningワークロードにおいて、コンプライアンス要件を満たし、データ主権を維持するために不可欠な機能です。適切に実装することで、暗号化キーの完全な制御を維持しながら、規制要件を満たすことができます。既存ワークスペースを使用している場合は、新規ワークスペースへの移行計画を検討してください。

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参考情報

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