Azure Entra IDゲスト招待権限を管理者のみに制限する手順

このブログシリーズ 「クラウドセキュリティ 実践集」 では、一般的なセキュリティ課題を取り上げ、「なぜ危険なのか?」 というリスクの解説から、 「どうやって直すのか?」 という具体的な修復手順(コンソール、Azure CLI、Terraformなど)まで、分かりやすく解説します。

この記事では、「ゲストユーザーの招待制限が有効化されていない」というセキュリティ課題の修復方法を解説します。

ポリシーの説明

Azure Entra IDでは、組織外部のユーザーをゲストユーザーとして招待できます。デフォルト設定では、すべてのユーザーがゲストユーザーを招待できるため、これは重大なセキュリティリスクとなります。

ゲストユーザーの招待権限を「特定の管理者ロールに割り当てられているユーザーのみがゲストユーザーを招待できる」ように制限することで、組織のセキュリティ境界を適切に管理し、データガバナンスを強化できます。この設定により、外部コラボレーションを必要な範囲に限定し、シャドーITを防止できます。

修復方法

コンソールでの修復手順

Azure ポータルを使用して、ゲストユーザーの招待権限を管理者ロールのみに制限します。

  1. Azure ポータルにサインイン
    • https://portal.azure.com にアクセスし、グローバル管理者権限を持つアカウントでサインインします
    • ※この設定変更にはグローバル管理者権限が必要です
  2. Azure Entra ID に移動
    • 左側のナビゲーションメニューから「Azure Entra ID」を選択します
    • または、検索バーで「Azure Entra ID」を検索して選択します
  3. 外部コラボレーション設定を開く
    • 左側のメニューから「ユーザー」を展開します
    • 「ユーザー設定」を選択します
    • 「外部コラボレーション設定を管理する」リンクをクリックします
    • ※または「外部ID」→「外部コラボレーション設定」から直接アクセス可能
  4. ゲストの招待設定を確認
    • 「ゲストの招待設定」セクションで現在の設定を確認します:
      • ❌「メンバー ユーザーは招待ができる」(デフォルト – 非推奨)
      • ❌「ゲストは招待ができる」(最もリスクが高い)
      • ✅「特定の管理者ロールに割り当てられているユーザーのみがゲスト ユーザーを招待できる」(推奨)
      • 「ゲストを招待できるユーザーはいない」(最も制限的)
  5. 最も制限的な設定を選択
    • 「特定の管理者ロールに割り当てられているユーザーのみがゲスト ユーザーを招待できる」を選択します
    • この設定により、以下のロールを持つユーザーのみがゲストを招待できます:
      • グローバル管理者
      • ユーザー管理者
      • ゲスト招待元(Guest Inviter)
      • その他の特権管理者ロール
  6. 追加のセキュリティ設定(推奨)
    • ゲストのアクセス許可を制限する:
      • 「ゲスト ユーザーのアクセスは、ディレクトリ オブジェクトのプロパティとメンバーシップに制限されます(最も制限的)」を選択
    • ゲストのセルフサービス サインアップ:
      • 「いいえ」を選択して無効化
  7. コラボレーションの制限を設定
    • 「コラボレーションの制限」セクションで、ドメインベースの制限を設定
    • 「招待を特定のドメインに拒否または許可する」を選択
    • 制限の種類を選択:
      • 「許可」: 指定したドメインのみを許可(ホワイトリスト方式)
      • 「拒否」: 指定したドメインを拒否(ブラックリスト方式)
    • 対象ドメインを追加(例: partner-company.com
  8. 利用規約の設定(オプション)
    • 「利用規約」を有効にして、ゲストユーザーに同意を要求
    • PDFファイルをアップロードして利用規約を設定
  9. 設定を保存
    • すべての設定を確認後、「保存」をクリックします
    • 変更は即座に有効になります

最後に

この記事では、Azure Entra IDにおけるゲストユーザーの招待制限の設定について、リスクと対策を解説しました。

ゲストユーザーの招待を適切に制限することで、組織の境界を明確に定義し、シャドーITを防止し、データガバナンスを強化できます。特定の管理者ロールのみに招待権限を制限することで、外部アクセスの可視性と制御性が向上し、コンプライアンス要件を満たすことができます。

2025年現在、ゼロトラストセキュリティとSASE(Secure Access Service Edge)の観点から、すべての外部アクセスは継続的に検証され、最小権限の原則に基づいて管理される必要があります。ゲスト招待プロセスを自動化・標準化することで、セキュリティを維持しながらビジネスの柔軟性も確保できます。

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参考情報

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